📋 目次
PART 1
1on1は何のための時間か
1on1は、上司と部下が定期的に一対一で話す時間です。会社によって頻度や長さは違いますが、週に1回から月に1回、15分から30分程度で行われることが多いようです。
1on1と普段の打ち合わせとの違いは、主役が部下であることです。進捗の確認や上司からの指示が中心の打ち合わせとは違い、1on1は部下が困っていること、考えていること、これからやりたいことを話し、上司がそれを支える時間です。
| 進捗会議 | 1on1 | |
|---|---|---|
| 主役 | プロジェクトやチーム | 部下本人 |
| 話題 | 進み具合、課題、次の作業 | 困りごと、考え、成長、キャリア、働き方 |
| 上司の役割 | 確認し、指示する | 聞き、問いかけ、支援する |
| ゴール | 作業を前に進める | 部下が自分で考え、動けるようになる |
⚠️ 進捗確認だけで終わらせない
1on1が毎回「今の案件どう?」で始まり、進捗報告で終わる場合、それは名前が違うだけの進捗会議です。進捗は週報やチャットで共有し、1on1ではそれ以外のことに時間を使うのが理想です。
評価面談・報連相との違い
日本の会社では、期首・中間・期末に上司と面談する仕組みが以前からあり、1on1と混同されがちです。役割を分けておくと、1on1で何を話すべきかがはっきりします。
| 1on1 | 評価面談(期首・期末面談) | 報連相 | |
|---|---|---|---|
| 頻度 | 週1回〜月1回など定期的 | 半期または年1回 | 必要なときに随時 |
| 目的 | 部下の困りごとの解消と成長の支援 | 目標の合意、評価の伝達とすり合わせ | 仕事の状況を共有し、判断を仰ぐ |
| 話題を決める人 | 主に部下 | 主に会社の評価制度と上司 | 状況に応じて部下 |
| 評価との関係 | 評価をつける場ではない | 評価そのものを扱う | 日々の仕事の一部 |
1on1で話したことがそのまま評価に使われるのでは、と部下が身構えると本音は出てきません。上司は最初に「1on1は評価のための場ではない」と伝え、記録の扱いを約束しておくと、話しやすい雰囲気が作れます。
PART 2
基本の流れ — 30分の時間配分
1on1には決まった形はありませんが、次の流れを基本にすると、話が散らからずに進みます。30分の場合の目安です。
近況の確認と前回のおさらい(約3分)
最近の調子や近況を軽く聞くアイスブレイクから入り、前回決めた行動がどうなったかを確認します。いきなり本題に入るより、話しやすい雰囲気が作れます。
部下が話したいテーマ(約15分)
部下が事前に用意したテーマを話します。困っていること、相談したいこと、考えていることなど、部下が選んだ話題を優先します。
上司から伝えたいこと(約5分)
フィードバックや共有事項があれば伝えます。ただし、この時間が長くなりすぎないように気をつけます。
次の行動の確認(約5分)
話した内容から、次回までに誰が何をするかを確認します。部下の行動だけでなく、上司が引き受けたことも確認します。
記録(約2分)
話した要点と次の行動を短く記録します。終わった直後に書くのが一番正確です。
💡 テーマは部下が決める
1on1の中心となるテーマは、部下が決めるのが基本です。上司があらかじめ議題を決めてしまうと、部下が本当に話したいことが出てきにくくなります。
PART 3
部下側の準備 — 何を持っていくか
部下にとって、1on1は上司の時間を自分のために使える貴重な機会です。「話すことがない」と感じる人も多いですが、少し準備するだけで、1on1の価値は大きく変わります。
準備の手順
- 前回の1on1の記録を読み返し、約束した行動がどうなったかを確認する
- この期間の仕事を振り返り、うまくいったこと、困ったことを一つずつ書き出す
- 上司に相談したいこと、聞きたいことを一つか二つ選ぶ
- 話したいテーマを、前日までに上司に伝えておく(会社の慣行に合わせて)
部下が持っていくテーマの例
| 分野 | テーマの例 |
|---|---|
| 今の仕事 | 優先順位に迷っている案件がある、進め方について意見がほしい |
| 困りごと | 他部署との調整がうまくいかない、業務量が多くて手が回らない |
| フィードバック | 先週の発表について、良かった点と改善点を聞きたい |
| 成長 | 身につけたいスキルがある、次に任されたい仕事がある |
| キャリア | 3年後にどんな仕事をしていたいか、そのために何が必要か |
| 働き方 | 集中できる時間の確保、会議の多さ、チーム内の役割分担 |
💡 「話すことがない」ときは
話すことがないと感じるときは、「最近うまくいったこと」と「最近少し引っかかったこと」を一つずつ書き出してみます。小さな引っかかりが、話してみると大事なテーマだったということはよくあります。
PART 4
部下が上司に聞くとよい質問
部下から上司に質問することで、評価の基準や期待をはっきりさせることができます。次のような質問は、どの時期でも使えます。
期待と評価について
- 今の私の仕事で、一番期待されていることは何ですか。
- 今期の評価で特に重視される点はどこですか。
- 今の私の仕事ぶりで、続けてほしいことと、変えてほしいことは何ですか。
- 次の段階に進むために、足りないと感じる点はありますか。
仕事の進め方について
- この案件で、私が判断してよい範囲はどこまでですか。
- 今抱えている仕事の優先順位は、この順番で合っていますか。
- この件について、どのタイミングで報告を受けたいですか。
成長とキャリアについて
- 私が今後経験しておいた方がよい仕事はありますか。
- 〇〇の仕事に関わってみたいのですが、どんな準備が必要ですか。
- チームの中で、私がもっと役に立てる場面はどこだと思いますか。
⚠️ 一度に質問しすぎない
質問を10個も持っていくと、一つひとつの話が浅くなります。1回の1on1で深く話せるのは、一つか二つのテーマです。残りは次回に回します。
PART 5
上司側の準備と、聞き方のコツ
上司にとって、1on1は部下の状態を知り、成長を支えるための時間です。上司が話しすぎると、部下の話を聞く時間がなくなってしまいます。
上司の準備
☐ 前回の1on1の記録と、約束した行動を確認した
☐ 部下の最近の週報や日報、仕事の状況に目を通した
☐ 伝えたいフィードバックがあれば、具体的な場面を思い出しておいた
☐ 部下から事前に届いたテーマを確認した
☐ 1on1の時間を中断されない環境(会議室、通知を切るなど)を用意した
聞き方のコツ
| 避けたい聞き方 | おすすめの聞き方 |
|---|---|
| 問題ないよね? | 最近、少しでも引っかかっていることはある? |
| こうすればいいんじゃない?(すぐに答えを出す) | 自分ではどうしたらいいと思う? |
| なんでできなかったの? | 何があればできたと思う? |
| 頑張ってね。 | 次回までに、私が手伝えることはある? |
上司がすぐに答えを出すと、部下は自分で考える機会を失います。まずは部下の考えを聞き、そのうえで必要なら自分の意見を伝える順番にします。1on1の解説では「上司は傾聴を中心に」とよく言われますが、聞くだけで終わらず、相づちや言い換えで「受け取った」ことを示し、最後に次の行動を一緒に決めるところまでが上司の役割です。
💡 沈黙を怖がらない
質問をしたあと、部下がすぐに答えられないことがあります。沈黙は考えている時間なので、上司が急いで言葉を足さずに待つことが大切です。
PART 6
上司が使える質問の例
上司が部下に投げかける質問を、目的別にまとめました。毎回すべてを使う必要はなく、その日のテーマや部下の状態に合わせて選びます。
調子と状態を知る
- 最近の仕事の調子は、10点満点でいうと何点くらい?その理由は?
- この2週間で、一番手応えがあった仕事は何?
- 仕事の量は、今どう感じている?
困りごとを見つける
- 今、進めにくいと感じている仕事はある?
- 誰かに頼りたいけれど頼めていないことはある?
- 私の指示やチームのやり方で、分かりにくいところはある?
成長とキャリアを考える
- これから挑戦してみたい仕事はある?
- 1年後にどんなことができるようになっていたい?
- 今の仕事の中で、もっと伸ばしたいと思う力は何?
上司自身への意見を聞く
- 私がもっとこうしてくれたら助かる、ということはある?
- チームの会議や進め方で、変えた方がいいと思うことはある?
PART 7
話しにくいことの切り出し方
1on1では、業務量の不満、人間関係、異動の希望など、普段は言い出しにくいことを話す場面もあります。話しにくいことほど、伝え方を工夫すると話が前に進みます。
部下が切り出すとき
| 伝えたいこと | 切り出し方の例 |
|---|---|
| 業務量が多すぎる | 今抱えている仕事を一覧にしてきました。優先順位を一緒に確認していただけますか。 |
| チーム内の人間関係 | 〇〇さんとの作業の進め方で、少し困っていることがあります。どう進めればよいか相談させてください。 |
| 異動や新しい仕事の希望 | 今後のキャリアについて考えていることがあり、一度お話ししたいと思っていました。 |
| 評価への疑問 | 前回の評価について、次に活かすために、どの点を重視されたのか教えていただけますか。 |
ポイントは、不満をそのまま伝えるのではなく、相談や提案の形にすることです。事実(仕事の一覧、起きたこと)を用意しておくと、感情的な話にならずに済みます。
上司が受け止めるとき
部下が話しにくいことを話してくれたときは、まず話してくれたことに感謝し、すぐに否定したり結論を出したりせずに最後まで聞きます。その場で答えられないことは、「確認して次回までに返事をする」と約束し、必ず守ります。
PART 8
1on1でよくある失敗と立て直し方
1on1を始めても、何回か続けるうちに形だけになってしまうことがあります。よくある失敗と、その立て直し方をまとめました。
| よくある失敗 | 起きていること | 立て直し方 |
|---|---|---|
| 毎回、進捗報告で終わる | 1on1が進捗会議の延長になっている | 進捗は週報で共有すると決め、1on1の冒頭で「今日話したいテーマ」を部下に聞く |
| 上司のアドバイスで時間が終わる | 上司が話す時間が長く、部下が考える時間がない | 上司は質問から入り、意見を言うのは部下の考えを聞いた後にする |
| 忙しくて中止や延期が続く | 1on1の優先順位が下がっている | 時間を短くしてでも予定どおり行う。15分でも続けることを優先する |
| 毎回同じ話の繰り返し | 次の行動が決まっていない、または確認していない | 終わりに次の行動を決め、次回の最初にその結果を確認する |
| 部下が本音を話さない | 話した内容がどう扱われるか不安がある | 記録の共有範囲を最初に約束し、話してくれたことに対して必ず何か行動で返す |
💡 1on1そのものを振り返る
数か月に一度、「この1on1の時間は役に立っているか、どう変えるともっと役に立つか」を部下に聞いてみます。進め方を一緒に見直すこと自体が、信頼関係を深めるきっかけになります。
PART 9
記録の残し方と、次回へのつなげ方
1on1は、話して終わりにすると効果が続きません。話した内容と次の行動を記録し、次回の最初に確認することで、1on1が積み重なっていきます。
✍️ 1on1記録のテンプレート
日付: 〇月〇日
今回のテーマ: (部下が持ってきたテーマ)
話した要点: (2〜3行)
部下が次回までにやること: (期限つき)
上司が次回までにやること: (期限つき)
次回話したいこと: (持ち越したテーマなど)
記録のポイント
- 要点だけを書く: 会話をすべて書く必要はありません。決まったことと、次の行動を中心にします。
- 上司の約束も書く: 部下の行動だけでなく、上司が引き受けたことも書きます。上司が約束を守ることで、部下は1on1を信頼できます。
- 共有の範囲を決めておく: 記録をどこに保存し、誰が見られるかを最初に決めておきます。個人的な相談の内容は、本人の了承なく他の人に共有しないようにします。
- 部下も自分用に残す: 1on1でもらったフィードバックや、話した目標は、自分の記録としても残しておくと、評価の時期に役立ちます。
💡 評価面談とのつながり
1on1の記録がたまっていれば、評価面談では「何を話すか」から考える必要がなくなります。期中に話した目標の変化やフィードバックが残っていることで、評価の根拠についての認識のずれも小さくなります。
よくある質問
Q. 1on1の頻度と時間はどのくらいが適切ですか?
会社やチームの状況によりますが、週1回から隔週で15〜30分、または月1回で30分程度が多いようです。大切なのは長さより、決めた頻度で続けることです。忙しいときこそ短くても実施する方が、関係が途切れません。
Q. 部下側で話すことがないときはどうすればよいですか?
最近うまくいったことと引っかかったことを一つずつ書き出す、上司に評価の基準や期待を質問する、来月以降に挑戦したい仕事について話す、などの方法があります。話すことがない状態が続く場合は、そのこと自体を上司に相談してもかまいません。
Q. 上司が話しすぎてしまいます。
時間の配分をあらかじめ決めておくと防ぎやすくなります。部下の話す時間を全体の半分以上にすることを目安にし、上司は質問と確認を中心にします。
Q. 1on1で評価の話をしてもよいですか?
1on1は評価をつける場ではありませんが、評価の基準や期待についての話は、むしろ定期的にした方がよいテーマです。期末の評価面談で初めて期待を知ることがないように、期中に「今の仕事ぶりで期待に届いている点と足りない点」を話しておくと、評価への納得感が高まります。
Q. 1on1と評価面談は何が違いますか?
評価面談は半期や年1回、目標の合意や評価の伝達のために行うもので、話題は評価制度に沿って決まります。1on1は週1回から月1回など短い間隔で、部下が選んだテーマについて話し、困りごとの解消や成長を支える時間です。1on1を続けておくと、評価面談での認識のずれが小さくなります。
Q. オンラインで1on1をするときの注意点はありますか?
できるだけカメラをつけ、通知を切って集中できる環境で行います。対面より表情や雰囲気が伝わりにくいため、上司は意識して相手の話を要約して確認したり、言葉で気持ちを聞いたりすると、すれ違いが減ります。
Q. 1on1の記録は誰が書くべきですか?
どちらが書いても構いませんが、事前に決めておくことが大切です。部下が書いて上司に共有する形にすると、部下が自分の言葉で次の行動を確認でき、主体的に取り組みやすくなります。
Q. 1on1を何回か続けても効果を感じません。
進捗確認だけで終わっていないか、次の行動を決めて次回に確認しているかを見直してください。テーマを部下が決める、上司の約束も記録する、の二つを取り入れるだけでも、話の深さが変わることがあります。
この記事は一般的な情報をまとめたものです。評価の様式・基準・運用は会社によって異なるため、社内の規程とあわせてご確認ください。
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